1球目から目が離せない
バレーボールに青春を懸ける高校生を描いた作品「ハイキュー‼」。
本作はTVシリーズに続く劇場版だ。
原作は古舘 春一の漫画『ハイキュー!!』。
制作はProduction I.G。
監督は満仲勧。
TVアニメシリーズは第4期まで放送されており、
全85話(OAD3話)。
待ちに待った烏野高校VS音駒高校の頂上決戦(まだ3回戦)。
興奮度は決勝戦くらいある。
原作マンガでも最も人気のエピソードである「ゴミ捨て場の決戦」。
練習では無い、負けたら終わり。
「もう一回」が無い試合を描いたアニメ映画だ。
試合は烏野高校のサーブから始まる。
1球目から全身全霊。
受けたら腕が吹き飛びそうなくらい強烈なサーブが放たれる。
まずはサーブで1点先取かと思いきや、
そこから息つく暇もない(視聴者が)怒涛のラリーが続く続く!
気づいたら呼吸するの忘れてた。く、苦しい。
まだ1球目だぞ?
ラリーの間は緊張の連続で画面から目が離せない。
ボールが落ちてくるたびに俺の鼓動が早まる。
ハラハラし過ぎて不整脈起こしそう。
たった1点されど1点。
その積み重ねの先に勝利があるのを全員が理解している。
1点くらい取られてもいいなんて考えてる奴は、
コートの中に一人もいないんだと感じとれる。
最初はソファーにもたれ掛かって観ていたが、
いつも間にか前のめりなっていた。
1点目からここまで引き込まれるスポーツアニメがあっただろうか?
いや!なっ・・・冷静に考えたら探せばあるかもな(笑)
少なくとも俺は知らない!
これはぜひ映画館で観たかった。
観た人はこの1球目でグッと作品に引き込まれ息をのんだことだろう。
そうなったらもう終盤まで目が離せない。
最高に楽しい試合
この戦いはただ熱いだけの試合じゃないんだよ。
選手全員がこれ以上ないくらい試合を楽しんでいるのがわかる。
なんでこんなに楽しそうに、
なんでこんなに本気で試合できているのか?
TVシリーズ放送から時間が経っており、
忘れてしまっている人も多いかもしれない。
そんな彼らのこの試合に懸ける想いを、
劇中に挟む各キャラごとの回想で想い出させてくれる親切設計。
TVシリーズを観てる人ならちょうどいいくらいの回想。
クライマックスに近づくにつれて、
キャラクターだけでなく観ている我々の魂も高揚してくる。
寂しい
「ゲームオーバーよりクリアの方が寂しい」
回想で研磨が言っていた言葉だ。間違ってたらゴメン。
これがすげぇ共感できる。
テレビゲームが好きで、
難しい敵と何度も戦って攻略方法を考えたり色々試してみるのが楽しい。
頑張ってクリアしようとしているのに、
終わらないでほしいという矛盾する思いも生まれてくる。
ゲームクリアは達成感を味わうことはできるけど、
同時に楽しい時間の終わりも意味している。
研磨は烏野高校の攻撃の要となっている翔陽を攻略しようとする。
研磨の作戦によって思い通りにプレイできなくなってくる翔陽。
翔陽を追い詰めていくことで研磨は何を感じているのか?
勝利に近づく喜び?達成感?
いや違う、寂しさだ。
自分の作戦が烏野攻略に功を奏している達成感は感じているかもしれない。
しかし同時に翔陽にはずっと攻略しがいのある面白い存在でいて欲しいと矛盾する願いを抱き続けている。
全力で試合に勝とうとしているのに翔陽ならまだ何かしてくれる、
もっと面白くしてくれるんじゃないかという期待があるわけだ。
日向翔陽は研磨の想いに呼応するかのように、
さらに高く飛ぶために新たな翼を広げる。
一人称視点
試合途中ある選手の一人称視点に映像が切り替わる。
この演出が凄いよ!
必死でボールを追う選手の視点を体感できるわけだ。
人によっては酔いやすかったり、見づらいと感じるかもしれない。
でも演出としてはかなり粋だと思う。
だってキャラクターたちと視聴者のシンクロ率が高まってきた後半でこんな演出されちゃったらもう体に力入りっぱなしよ。
レースゲームに集中し過ぎるとカーブの時に体傾いてくる現象に似てる。
キャラクターの視点が激しく動くのに合わせて体にもグッと力が入る。
そんな状態で試合はクライマックスを迎えるんだから最高の終わり方だよね。
感想:感極まって涙がでる。
ストーリーはTVシリーズの積み重ねもあるので、
映画単品では評価できないけど重みのあるストーリーだった。
何よりキャラクターたちの想いや試合を楽しんでいるのが観てわかるのがすごい。
国語の苦手な私でもキャラの想いを自然と読み取ることができた。
作画も当然ながら迫力のある映像だった。
特に研磨の一人称視点は衝撃的。
観づらいと感じる人もいるかもしれないが個人的には最も引き込まれた演出だ。
試合終盤の体力も精神も限界に近い選手の視線を体感することできる素晴らしい映像だった。
そのシーンは集中し過ぎて呼吸止まってたと思う。
映画単体ではなくやはりTVシリーズを視聴した後に観てほしい。
結構長いけどTVシリーズも映画と同じく素晴らしい出来なので一度見始めるとあっという間に見終わってしまうと思う。
私はそうだった。