ウィッチャーとは?
ウィッチャーシリーズについてご存じだろうか?
アンドレイ・サプコフスキの小説「ウィッチャー」を原作とするシリーズで、日本ではゲーム「ウィッチャー3 ワイルドハント」やドラマシリーズが人気のダークファンタジーだ。
ウィッチャーというのは、元々は人間だが変異誘発剤という薬に適合し、超人的な身体能力と寿命を持つに至った者たちの呼称であり、彼らはモンスター退治を生業としている。
物語の主人公となるのは<白狼>、<ブラビケンの殺し屋>などの異名を持つ熟練のウィッチャーであるゲラルドとその相棒である吟遊詩人のヤスキエル(原作英訳ではダンディリオンと呼ばれている)。
ヤスキエルは、ゲラルドの活躍を歌の題材にするために旅に同行している。
ウィッチャーシリーズの魅力
ウィッチャーシリーズの魅力の一つに怪物と戦う前の推理・準備の場面がある。
ゲラルドが怪物の習性に関する知識や現場の状況証拠から事件の真相を推理したり、怪物の種類を予測して戦闘前に対策を立てたり、あるいは人間が怪物の仕業に仕立て上げた偽装であることを見破ったりするなど名探偵っぷりを発揮する。
事件の真相を導き出し、場合によっては怪物相手でも話し合いで解決したり、人間相手であっても切り刻むことがある。
ゲラルドにとって人間と怪物の間に境界は存在せず、人間であろうと怪物であろうと殺すときは殺すし、不必要な犠牲は出さずに済むならそれに越したことはないというゲラルドの信念に基づいた一貫性のある行動が見る人を惹きつける。
今作は怪物との戦闘は見ごたえのある内容だったが、推理パートの面白さがイマイチだった。
リトル〇ーメイド
今作でも推理や調査によってセイレーンと人間の間に争いが起きている真相を探っていくのだが、話の内容がリトル〇-メイドに似すぎている。
異なる点はもちろんあるのだが悪役の正体など大筋の流れはほぼ同じだ。
推理するまでもなく誰が諸悪の根源かわかってしまう。
推理して徐々に真相に迫っていくワクワク感があまりない。
バットエンドに向かうリトル〇ーメイドの世界をゲラルドたちが軌道修正してハッピーエンドに変えていくような話になっている。
シンプルでわかりやすいストーリーではあるが、その分驚くような展開はあまりみられなかった。
洋アニメなキャラデザ
作画は非常に綺麗だ。
キャラクターデザインはいかにも洋アニメという感じでリアル寄りのデザインになっている。
洋アニメのデザインが苦手という方もいると思うが、キャラクターたちの表情が非常に豊かで、特に喜怒哀楽のはっきりとしたヤスキエルのようなキャラクターは非常に魅力的に感じる。
人魚のような見た目をしたセイレーンという種族は、ディズニー作品に出てくるような美しい外見ではなく、魚型の怪物と人間の中間とも言えるようなダークファンタジーらしいデザインとなっている。
回転剣舞
作画は常に安定しており、特に戦闘シーンは流れるような剣舞がしっかりと描かれている。
動きの多いシーンはCGも駆使しているようだがCGなのかよく見ないとわからないくらい自然な仕上がりだ。
戦闘シーンでは、ゲームでも登場する回転剣舞を披露してくれるのだが流れるような体さばきが忠実に再現されている。
剣と魔法を駆使しながら舞を踊るかのように戦うゲラルドの姿はとてもかっこいい。
しかし、気になる点もある。
跳躍し過ぎた。
敵の攻撃をジャンプで避けたり、敵を足蹴に跳躍し攻撃につなげたりするのはいいのだが、それが続きすぎて常に空を飛んでいるような状態になってしまっている。
そのせいかゲラルドの攻撃に重量感が感じられない。
リアリティよりも派手さに重きを置いた戦闘シーンとなっている。
総評
ウィッチャー好きの人は一見の価値あり。
キャラクターの設定や世界観の説明がほとんどないので、すでにウィッチャーシリーズのいずれかを知っている人向けの作品になっている。
ゲラルドの声優は山路和弘さんでゲームと同じ。
ヤスキエルの声優は小林親弘さんでドラマシリーズと同じ。
私としては理想的なキャストになっていて彼らの演じるゲラルドとヤスキエルの会話が聞けただけでも結構うれしい。
ウィッチャーシリーズを全く見ていない人にとってはリトル〇ーメイドのストーリーに似たダークファンタジーという印象だと思う。